野鳥撮影について(撮影機材編)

 今まで1998年よりデジタルカメラ(銀塩カメラは50年近く使用)を使用して花と風景写真をメインに撮影してきましたが,野鳥撮影に填ったのが2005年3月の初めです。経験は7年目に入りましたが,感じていることを纏めてみました。

1. 撮影機材について
 先ずは野鳥撮影には風景写真と異なった機材が必要となり,填ると,カメラ病・レンズ病に感染します。但しそれには相当の費用と体力(腕力)が必要となります。
 現在使用中のカメラはCANON EOS7D(デジタルカメラ)で,EOS10D,20D,40D,EOS1DMarkUNを使用してきました。 

(1)銀塩カメラかデジタルカメラか
 デジタルカメラに限ります。価格的には銀塩より高価ですがランニングコストが安い大きなメリットがあります。しかし,デジタルカメラ業界に家電メーカの参入もあり,その価格は急激に下がっています。
●野鳥撮影の場合,一般的に被写体が小さく側に近寄れない場合が多い。7D(40D)の場合,C−MOSが小さい(APS−Cサイズ)ので銀塩カメラと比較して1.6倍の拡大撮影となる。このことにより,短い焦点距離のレンズが使用できる。・・・と良く書かれています。
 しかし,実際には1.6倍に拡大されているのでは無く,トリミングして切り抜いた画像がフルサイズ画像(35mm銀塩フィルム相当)の1.6倍の大きさに見えるだけで,ファインダーを覗いてもレンズの焦点距離以上に拡大されて見えません。
●野鳥撮影の場合,被写体が動くので連写が多く,無駄なカットも多く発生します。デジタルカメラならフィルム代(現像を含む)が不要でありランニングコストが安い。
●野鳥撮影の場合,被写体が動くのできるだけ高速シャッター速度での撮影が要求される。そこで高いISO感度に設定可能なカメラの方が良い。フィルムではISO感度変更が出来ない。
●デジタルカメラではJPG画像での撮影が一般的ですが,RAW画像で撮影しておけば撮影後に簡単に色温度調整や或程度の露出補正が出来るので,季節や撮影時間に関係なく適切な色表現が可能です。このことは,フィルムでは不可能です。
●トリミングやレタッチが簡単です。フィルムの場合もスキャナーで画像を読み込みレタッチは可能ですが,この時点でデジタルデータに変換されるので画質の低下は避けられず,邪道と考えています。
 以上の理由によりデジタルカメラがお勧めで,フィルムカメラで野鳥撮影されている方は野鳥カメラマンで殆ど見かけなくなりました。

(2)デジタルカメラの検討
●カメラメーカの決定
 現在1眼レフ用の交換レンズがあるのなら,そのメーカのデジタルカメラを購入された方が良い。(野鳥撮影しか,やらないのなら話は別ですが。)
 デジタルカメラの選定には以下に記述を検討され,決定された方が良いと思います。

●1眼レフデジタルカメラかデジスコで撮影するか。そのメリット,デメリットは以下の通りです。
@野鳥撮影では超望遠レンズ(焦点距離400mm以上のレンズ)が常識で,長すぎて困ることは先ず有りません。1眼デジカメの場合は,400mm以上のレンズは販売数が少ないのか高価であり,質量も重くなります。(一般的に入手可能なレンズは800mmまでで,価格的にも販売価格で100万円以上します)
Aスポッティングスコープとコンパクトデジカメの組み合わせであるデジスコは焦点距離が長いので遠くの野鳥を大きく撮影できると言われていますが,これは結果論なのです。デジスコシステムとして対物レンズ径が80mm高価です!)で接眼レンズの倍率を30倍としてデジカメはIXY 400Fを使用した場合は,コンデジに総合焦点距離150mm(F2.8)〜600mm(F7.5)のレンズを取り付けた画像となるのです。これはテレ端でも1眼デジカメに600mmレンズを装備した画像と変化はないのです。しかし,デジスコの焦点距離を35mmフィルム換算すると画像素子が非常に小さいので840mm〜3360mmのスゴイ超望遠レンズの焦点距離となるので遠い野鳥を大きく撮影できると表現されるのです。しかしこれは間違っており,その焦点距離は換算値であって実際は画像に非常に大きなトリミングを行ったのと同等で野鳥を大きく切り出したに過ぎないのです。(大きくトリミングするので,しっかりピント合わせをしないと目立ちます。このことを,被写界深度が浅いと表現されている方は勉強し直しです。)デジスコの場合は1000〜4000mmの超望遠(要注意!)でも比較的安価で,質量も軽くなります。
B多くの野鳥カメラマンが500〜800mmF4〜F5.6の大砲レンズで野鳥撮影する理由は背景の暈け味を楽しむために,非常に高価な重いレンズを購入されるのです。(600mmの焦点距離で比較するとレンズの明るさはデジ1眼がF4に対してデジスコではF7.5となるので約2段分の絞り差があり,コンデジでは大きなトリミングをしているので,益々暈け具合は少なくなります。
C1眼デジカメではAF(オートフォーカス)による撮影が多く,AFを多用することにより素早いピント合わせが可能です。また,野鳥の動きに追従した連続AF撮影も可能となっています。一方,デジスコではMF(マニュアルフォーカス)が基本であり,ピント合わせに時間がかかります。(上手な人は短時間でピント合わせをされますが・・・私は,MFが苦手なのでデジスコは使用できません。)コチョコチョ動く野鳥や飛び物の撮影には,デジスコによる撮影は難しいと思います。
D画像の解像度の比較を行うと,解像度はレンズの口径で決まり,レンズから入った象が劣化無く画像素子のCCD(C-MOS)に届くことが理想ですが,デジスコの場合はその間の補正のためのレンズや接眼レンズ,コンデジのレンズなどは劣化の要因となります。それらのレンズの影響で前玉から入った像の解像度がアップすることはないと判断できます。そして,コンデジはデジ1眼と比較して圧倒的に画像素子のサイズが小さいにも関わらず画素数が1000万画素を超えているので解像度が低く,密度的にかなりの無理がありISO感度を上げられないのがその証拠です。デジタルカメラでもフルサイズの画像素子を実装したデジカメは高価なのですがプロのカメラマンはコンデジを使用せずにフルサイズのデジカメを使用されるのは解像度の違いによるのです。
Eデジスコに使用するカメラはコンデジで画像素子のサイズが小さいので,ネットにアップする程度の野鳥を撮影するのなら問題がありませんが,A4サイズ程度に野鳥をプリントするのが目的ならC−APSサイズ以上の画像素子を使用した1眼デジカメが必要となります。
FHP作成者はMFが苦手との理由により,デジスコによる撮影は行いませが野鳥撮影に填られている方の中には,1眼デジカメとデジスコを併用されている方も居ます。

デジタルカメラの選定
 デジタルカメラは多くのメーカから色んな機種が発売されています。カメラ性能のチェックポイントは以下の通りですが,デジタルカメラの技術進歩が早く1.5年程度でモデルチェンジされることも考慮して選定するのが良いと思います。もちろん経済性が優先しますが。
@有効画素数
 CMOSセンサーがAPS−C,Hタイプの場合,トリミングを行わずA4サイズを越える大きさのプリントを行わないのであれば1000万画素で十分です。(一般の方は殆どA4サイズまでのプリントです。)これ以上に画素数が大きくなると画像1枚当たりの容量が大きくなり,同じ撮影枚数ならCFカードの容量が大きくなり撮影可能枚数が減ります。また,画像の容量が大きいとパソコンで画像処理を行う場合にレスポンスが遅くなります。次に,CMOSセンサーがAPS−Cタイプであればこれ以上に画素数を大きくするとダイナミックレンジが狭くなり色飛びが発生しやすく(デジカメの場合はフィルムと比較してダイナミックレンジが狭いのに),ノイズが多くなる傾向にあります。最近では,APS−Cタイプの画像素子で1500万画素を越えるカメラが普通となりつつありますが,素人受けするだけで必要性を感じません。 CANONのカメラにはAPS−HタイプのCMOSセンサーを使用した1000万画素以上のデジタルカメラもあり,その他の機能を検討して選択肢の1つとなります。
 但し,野鳥撮影の場合は被写体が小さく,殆どの場合トリミングが必要なのでダイナミックレンジ,ノイズに問題なければ1500万画素程度が良いかもしれませんが。しかし,大きなトリミングを行うとレンズ性能が顕著に現れ,ノイズも拡大されるので注意が必要です。
AC−MOS(CCD)センサーのサイズ
 現在1眼レフデジタルカメラにはAPS−C,APS−H,フルサイズの3種類のセンサーがあります。(但し,3種類あるのはキヤノンだけで,他メーカはAPS−Cタイプが主流です。)野鳥撮影の場合には,高価な大型センサーは必要ではなくAPS−Cタイプが最適です。APS−Cタイプの場合の有効撮影画角はフルサイズの1.5倍(キヤノンは1.6倍)となります。なお,APS−Hタイプは公称1.3倍(実際は1.26倍)となっています。この倍率はフルサイズ画像に対してトリミングされた画像の倍率といえます。但し,各センサーの画素数が等しければ,その倍率分だけ拡大された画像となるので,大きく撮影されたことになります。
Bファインダー倍率
 AF撮影しか行わないのであれば,特に倍率は問題有りませんが,AF撮影が出来ない場面(邪魔な枝が沢山ありAFが迷う場合,テレコンを装着してレンズが暗くなりAFセンサーが動作しない場合,等)ではMF撮影が必要になります。この場合には,ファインダー倍率が高いほどピント合わせが楽になります。但し,マグニファイヤーで倍率を高くする方法もありますが。
CAFポイント
 多いほど構図決定が楽になります。上空を飛ぶ猛禽類の撮影ではAFポイントが多いほど被写体を捕まえ易くなります。せめて9点以上のセンサーが欲しいです。但し,止まり物の撮影では殆ど中央1点のAFポイントしか使用しませんが。
DAF精度(ピント精度)
 どのような種類のカメラでも,一番使用頻度の高い中央AFセンサーの精度が良くなっています。特に中央センサーにはクロスセンサー(最近は全てのAFポイントがクロスの機種もある。)が採用されている機種もあります。中央クロスセンサーを採用した機種はピントが合いやすくなると言う理屈は判りますが,ピント精度はそのセンサー固有の特性である合焦判断範囲と測距輝度範囲並びに使用レンズにより異なります。合焦判断範囲とは7Dや1DMarKUNで野鳥撮影を行う時,木立の中や逆光条件等でコントラストが弱い場合,AF動作が不安定で合焦していなくてもシャッターが切れたり,撮影不能になったりする場合を多く経験します。各メーカのカメラではこの精度を明確にしていないので,カメラ雑誌等で確認して下さい。(参考例はここを参照下さい。)
 20D購入後AFに疑問を感じカメラとレンズを持ち込み調整して貰いましたが(10Dと比較して明らかにAF精度が悪く,ピントが甘い。CANON側の言い分では「不良ではないがAF精度を調整した。」・・・(しかし,未だ完全とは言えません。AF精度にバラツキがあるので大切な場面では何枚も撮影しておく必要があります。(通常の花や風景写真ではあまり気にする必要がありませんが,望遠レンズを使用した野鳥撮影ではトリミングが多いので少しのピントズレも誇張される。)AF精度に関してキヤノンにクレームを付けると,20Dはこの程度のカメラであり,もっと高いAF精度が欲しいのなら上位機種(CANON1DMarkU)を購入して欲しいと言われました。この言葉もあって,CANON 1DMarkUNを購入したのですが,格段に良いとは言えません。場合によっては,20DよりAF精度が悪く同じ時間に,同じ被写体を同じレンズで撮影したのですが,そのAF精度は20Dより格段に優れているとは言えませんでした。被写体(コントラストや明るさ,色温度)によって優劣を付けがたいのです。(20D,1DMarkUNの場合,他社製のカメラより総合的にAF精度が高いとは言えず,悪いと評価したほうがよい。)その検証結果はここを参照下さい。
 なお,AF精度はモデルチェンジの度に向上しており,現在使用中の7Dでは1DMarKUNよりも精度は向上しています。
EAF速度
 早いほど撮影チャンスを逃さないが,カメラ以上にレンズ性能に大きく左右される。カメラのカタログよりこの速度を推察するのは難しく,少なくとも超音波モータを採用した明るい(F値の小さい)最新レンズを用意した方が良いと思います。なお,テレコンバータを装着すると1.4倍のテレコンで2倍速度AFが遅くなるとされていますが,AF速度の速いレンズを使用していると,遅さを感じません。但し,AF速度が速くても,カメラのAF能力(AFセンサーはTTL二次結像位相差検出方式が多く,コントラストの低い被写体の場合AF動作が苦手となる。)が悪いと,AF速度が遅かったり合焦せず撮影不可能な場合もあります。
F起動時間
 デジタルカメラは電気製品でスイッチを入れたままにして置くと電池が消耗するため,通常或る一定時間で電源が切れるようになっています。起動時間とはシャッターボタンを押した後に,撮影可能となるまでの時間を言い0.2秒以下が理想で,この時間が長いと突然目の前に野鳥が現れた場合に撮影のチャンスを逃します。
G連写速度
 野鳥撮影では最低でもとして1秒間に5枚の連写速度が欲しいものです。この条件より,選択できるカメラが決まると思います。
 現在使用中の7Dでは1秒間に約8枚の撮影が可能となっています。この数値は高い程良く,カワセミ等の魚を捕らえる瞬間を撮影するには1秒間に10枚程度の撮影能力が欲しいものです。今のところこ10枚のような連写速度は1DMarkVのみ対応しています。
H連写可能枚数
 CFカードの速度にもよりますが,主にデジタルカメラ内のRAM容量並びに書き込み速度に左右されます。また,撮影する画像がJPEGなのかRAW画像なのかにより連写可能枚数が大きく異なります。その枚数が多い方が,撮影にストレスを感じません。なお,高い連写性能(書き込み待ちの時間が短い)を要求するのなら,画像記録メディア(CFカード等)のインターフェイスがUDMAとなっているカメラが必要で,メディアも同仕様で高速書き込みが出来ることが必要です。
 7Dの場合JEPGラージ画像で94コマ,RAW画像で15コマとなっており,UDMA対応で特に問題はありません。
Iシャッタータイムラグ(シャッターを押してから撮影までの時間遅れ:AF時間は除く)
 野鳥のような動体を撮影する場合,短時間のタイムラグが要求されます。20Dの場合は65mS,1DMarkUNでは55mSであり,短いほど良いのですが55mS以下に余り拘っていません。なぜなら,人間の反応時間(鳥が飛んだのを目で確認して,シャッターを押すまでの遅れ時間。年齢と共に長くなるようですが)が一般的に30〜100mS程度かかるからです。
JISO感度
 野鳥撮影の場合,野鳥は暗い場所に居ることが多くシャッター速度を稼ぐためISO感度を高く取ります。(しかし,時として日の当たった明るい場所に野鳥が出てシャッター速度が高速限界を超えて慌てる場合もありますが。)従って,ISO感度の設定範囲は200〜1600があれば良いと考えます。
 なお,ISO感度と画像ノイズには大きな因果関係があり,ISO800以上になるとかなり暗部ノイズが気になるようになります。また,トリミングを行うと余計にノイズが目立つようになります。また,C−MOSサイズと画素数にも関係し,同じC−MOSサイズなら画素数が少ないほどノイズが少ない傾向にあります。このノイズ量はカメラメーカにより異なるので,カメラ雑誌等で確認された方が良いと思います。
K測光方式
 測光方式には評価測光(画像素子の平均値),部分測光,中央部重点測光,スポット測光等の方式がある。野鳥撮影の場合は,野鳥画像の適正露出が要求されるのでスポット測光の機能があればよい。(但し,画面から画像がはみ出るぐらい近くで野鳥撮影が出来る場合には,スポット測光にて撮影を行うと狭い部分の測光となり,適正露出からずれる可能性がありますが。)
L電池
 デジタルカメラは電子製品であり,電源として電池が必要になる。現在のデジタルカメラの殆どの電池はリチウムイオン電池が主流ですが,ニッケル水素電池を使用した機種も存在している。ニッケル水素電池を使用したデジタルカメラでは電池のメモリー効果対策用の放電機能が具備された充電器であるかを確認する必要がある。また,カタログ上の撮影可能枚数は連続撮影時の枚数であり,一般的な撮影可能枚数はそのカタログ撮影可能枚数の80%程度と考えた方が安全です。従って,予備電池の購入も必要です。
M質
 カメラは小型軽量の方が取り扱いが簡単で良い。超望遠レンズが重いので,カメラ側は軽いに越したことはありません。また,質量が重いとシャッターショック時の運動エネルギーが大きく(質量に比例するため),よりカメラブレに対する考慮が必要となります。但し,重たいカメラは防滴・防塵性が強化されていたり,シャッター寿命が長かったりと,それだけの値打ちはありますが。
 なお,カタログでのカメラ質量は電池を含まないで記載しているため,電池を装着するとその分が重くなります。因みに,300g以上の電池を使用するカメラもあるので,電池の重さを無視できなくなります。

(3)レンズの検討
 カメラの選定以上に,レンズの選定は重要です。解像度の低いレンズを使用すると,幾ら高性能なカメラを使用しても眠たい写真となってしまいます。また,AF速度が遅いレンズもストレスを感じます。 一方,現在市販されている1眼レフタイプのデジタルカメラでは,多少AF精度の差はありますが,レンズの差ほど極端に解像度の差は出ません。
@レンズの評価としてMTF特性は有効か
・レンズを検討する場合に,レンズ固有の解像度(シャープさ)とコントラストを示す曲線としてMTF特性図があります。レンズ選定に関してはこの曲線を参考にしています。(これしか評価のしようがないので,有効な評価と判断しています。)
・野鳥撮影の場合,鳥が小さいのと,なかなか側に近づけないため画像のトリミングを行い,鳥を大きく引き出す場合が殆どです。この場合に,レンズの解像度の差が極端に出ます。良いMTF特性のレンズでピシッとピントが決まったときの画像は,野鳥の羽根の1本1本が鮮明に見えます。
・良い解像度のレンズを使用しているのに,シャープさが不足した画像を目にするときがあります。これは,カメラとレンズのマッチングが取れていないのか,どちらかの不良と予想できるのでメーカでの点検・調整が必要と思います。
・解像度が低いレンズを使用する場合は,レタッチにてシャープ,コントラストを調整することにより解像度が上がったように見えますが,詳細に画像を見るとエッジ部がカリカリになったり,ノイズが増幅されている画像も見受けられます。(HP作成者の画像の中にもありますが。)
Aカメラメーカの純正レンズかレンズメーカ製のレンズか
 レンズメーカ製のレンズの方が純正レンズより安価となっています。レンズメーカ製のレンズを使用して思うような解像度が得られなかった場合にレンズが悪いのか,カメラが悪いのかが判らなくなります。純正レンズではレンズ(全てのレンズ)とカメラをSC(サービスセンター)に持ち込むことにより調整が可能です。これらのリスクと価格を検討の上選定すればよいと思います。因みに,HP作成者は悩むのが嫌なので野鳥撮影用レンズは純正品しか使用しません。
B単焦点レンズかズームレンズか
・使用勝手から考えると,ズームレンズの方が汎用性は高いが,実際の野鳥撮影において使用焦点距離はTELE端が多くズームレンズの意味が無くなります。
・ズームレンズの場合,単焦点レンズと比較してTELE端の解像度低下が見られる場合が多く,MTF特性の確認が必要です。(レンズの構造上MTF特性の低下は仕方がない。)
・純正のズームレンズでは〜400mmが最大焦点距離であり,開放F値が5.6と暗い。(レンズメーカでは〜500mmのズームレンズも販売されているが,あまりの解像度の低さに購入後に直ちに売却してしまったレンズもありました。)
C開放F値の小さいレンズが良い
・開放F値の小さいレンズほどファインダーを覗いた場合の画像が明るく,ピントの山が掴みやすい。
・開放F値が低いと,開放で使用した場合に背景の呆け具合が素晴らしい。その反面,被写界深度が浅くなるので慎重なピント合わせが重要となります。
・開放F値が2.8のレンズ(328,428)では中級カメラでも中央のAFクロスセンサーが使用でき,ピント精度が上がると思います。(このようなレンズを持っていないのでレンズの明るさによるAF性能の差は判らないが,花の撮影時に100mmマクロF2.8を使用した感じではAF性能が極端に向上するとは思えませんが・・・)
 また,1DMarKUNには中央にF4対応のAFクロスセンサーが付いていますが,300mmF4Lを使用した撮影では,20Dよりも安定したAF精度が出るとは言えません。即ち,クロスセンサーの効果が確認できません。
・開放値の明るいレンズの方が,シャッター速度を稼げるのでISO感度を上げなくても撮影可能です。ISO感度を上げるとノイズが目立つようになるからです。・・・このメリットが一番大きい
・328,428のレンズの解像度は開放から素晴らしいものですが,328の場合焦点距離が300mmと短いので1.4倍や2倍(AFセンサーが殆どの場合F5.6対応なので,2倍のテレコンを装着してもAF撮影は可能)のテレコン装着される場合が多いが,テレコンによる解像度低下が認められるので注意が必要です。
・開放値の明るいレンズは大口径レンズとなり,高価となり質量も重たい。428は最高級レンズの分類となります。
D合焦速度の早いレンズを
 超音波駆動以外のレンズを購入すると,そのAF速度の遅さに辟易とし野鳥撮影に不向きです。なお,同じ超音波駆動のレンズでも発売時期の新しいレンズの方がAF速度は,早いと思われます。
Eデジタルカメラ対応のコーティングは必要か
 デジタルコーティングすることにより,フレアーやゴーストに強くなるとは聞いていますが野鳥撮影の場合は余り気にする必要がないと思われます。そもそも,野鳥撮影に使用する望遠レンズは販売本数が少ないのか,デジタルコーティングされたレンズがありません。(キヤノン)
Fレンズの必要焦点距離はいくらが良いか
・長い方が良く,現状で一般的に販売されている最大焦点距離は800mmで開放F値は5.6です。価格的にも100万円以上で,質量も5kg以上となっているので,強靱な財力と体力が必要とされるレンズです。
・一番お勧めと思われるレンズは500mmF4であるが,価格的に80万円程度で,質量も4kg近くとなっているので,このレンズを3脚に取り付けて長距離を歩くには相当な体力が必要となります。
・400mmレンズでは428が市販されているが,高価すぎてあまり使用されている方を見かけたことがありません。キヤノンの場合には456(400mmF5.6)があり,レンズは暗いが解像度は高いので山中での撮影など長距離を歩く場合には軽くて重宝できます。
・300mmレンズでは328と304(300mmF4)の2種類が販売されているが,328の方が価格的に3倍,質量的に2倍の差があるので,500mm,600mmのレンズを所有しない場合には328+テレコンという選択しもあるが,せっかくの328の高解像度を悪くするのは勿体ない。
・304のレンズは小型で機動性も良く,価格的に程々なので手頃な野鳥撮影には向いています。この場合には,テレコン1.4〜1.5が必需品となります。
G手ぶれ防止機能は必要か
 レンズの焦点距離により,その必要性が異なる。
・手ぶれ防止機能は,レンズ内手ぶれ防止と,カメラ内手ぶれ防止に分けられます。レンズ内手ぶれ防止レンズを使用すると,ファインダーを覗いた場合その効果が確認でき,ピントもあわせやすい。従って,レンズ内手ぶれ防止のレンズを推奨します。
・手ぶれ防止機能でシャッター速度2〜4段分効果があるとされています。例えば,400mmレンズを使用の場合は,通常1/500秒以上のシャッター速度で手持ち撮影をします。これが,4段分の手ぶれ防止効果があるレンズを使用すると1/30秒での撮影が可能となるわけですが,野鳥は余りじっとしてくれません。また,枝に止まっている野鳥の場合,風で枝が揺れる場合もあります。幾らカメラを固定できても相手が動けばブレ写真となってしまいます。特に野鳥写真の場合は,殆どの場合トリミングを行うためにブレも拡大表示されるのでブレが目立つようになります。従って,手ぶれ防止効果を過信してはならない
・604レンズではその質量から手持ち撮影は不可能なので手ぶれ防止レンズの恩恵は少ない。脆弱な3脚及び雲台を使用した場合に,シャッターブレが発生するが手ぶれ防止レンズでそれを防げません。
・504レンズではたまに腕力のある人の手持ち撮影や1脚使用の野鳥撮影を見る場合があるが,殆どの人は3脚を使用しての撮影が多く,手ぶれ防止レンズの恩恵は少ない。但し,シャッターブレに対しての効果はありません。
・400mmレンズではキヤノンの100〜400mmF5.6の手ぶれ防止機能付きズームレンズが発売されているが,それなりの解像度と自覚して撮影するには便利だと思います。
・328ではキヤノンとニコンより手ぶれ防止機能付きのレンズが販売されており,手持ち撮影されている方も見かけます。(長時間の保持は重そうですが。)304の手ぶれ防止付きはキヤノンのレンズしかなく,328より1段分暗いが簡単に手持ち撮影が出来ます。
・野鳥撮影用の焦点距離が300mm以上のレンズは,販売数が少ないためか高価になっています。そこで,選択肢として中古品の購入という手段もあるが,特に手ぶれ防止機能は機械的に振動させるので寿命があるとされており,中古品購入時は故障時の覚悟も必要です。

(4)3脚及び雲台の検討
 野鳥撮影では殆どが超望遠レンズ(400mm以上)を使用し,手ぶれ防止,ピントの合わせ易さ(超望遠レンズでは被写界深度が浅いのと,トリミングをするのでピシッとしたピントが要求される。)で3脚は必需品となっている。また,レンズ及びカメラを取り付けるためには雲台が必要となる。
@3脚はレンズ+カメラ+雲台の質量を加算して,種類を決める必要がある。また,3脚には3段タイプと4段タイプがあるが,安定性から3段タイプを推奨します。しかし,持ち運びを優先するのなら4段タイプも可能です。
A500〜600mmのレンズに使用する雲台はビデオ雲台が一般的であり,雲台の最大荷重はカメラ(電池含む)+レンズ合計質量の1.5倍以上の裕度を持たせた方が安定します。
・通常,超望遠レンズは三脚座を雲台に取り付けて固定するが,レンズにカメラを取り付けた状態で重心点をビデオ雲台のレールで調整して固定します。
・この状態で,1.4倍や2倍のテレコンを装着すると質点がその分ズレルのでカメラ側が下がるようになります。また,木立の上方の野鳥撮影をするためレンズを上方に傾けると,より質点がカメラ側に移動してカメラ側が下がるようになります。(固定レバーを締めても機械的な撓み,或いは締付け部のスリップによってAFポイントがずれます・・・超望遠レンズでは少しのズレでもファインダー上では増幅されて見えます。)これらを出来るだけ防止するためレールで重心位置調整する必要があります。この調整が容易な雲台並びに,ロングストロークのレールを選択する必要があります。
・超望遠レンズとカメラの荷重は全て三脚座を通じて雲台にかかります。三脚座の位置は固定であり,重いカメラをレンズに取り付けるとスパンと荷重(カメラ)により雲台に曲げモーメントが働きます。そこに,テレコンを装着するとスパンが長くなり,より大きな曲げモーメントが雲台に架かります。(てこの原理
・このため,曲げモーメントが前後で均等となるようにレール上で重心位置を調整するのですが,一眼レフカメラの場合には撮影時にシャッターが跳ね上がり振動が出ます。此の振動が力となって働き,均等に重心位置を調整していても曲げモーメントの均衡がズレてカメラが振動することになります。(これがシャッターブレです)この力は質量に比例するので,重たいカメラほど振動が大きいのです。この振動を吸収する場所は雲台しかありませんので,丈夫な雲台が必要なわけです。
・しかし,三脚座のみでレンズ並びにカメラの加重を支えるのは限界があり,シャッターブレを無くすためにカメラやレンズ側にサポートを取り付け,スパンを短くして振動を防止されている方も見受けられます。
Bカメラ(電池含む)+レンズ合計質量質量が2kg程度であれば3方雲台の使用も可能であるが,その最大荷重に注意が必要です。(因みに,一般的に3方雲台の最大荷重が明確になっていないので困る。)

 現在使用の所有している最大3脚はVELBONのNeoCarmagne730で,質量は2.35kg,耐荷重は最大6kgです。一方,荷重は,7D(0.9kg:電池含む)+500mmレンズ(3.8kg)+ビデオ雲台(1.5kg)=6.2kgと少し荷重オーバーです。また,総重量は8.55kgと重く,これ以上大きな3脚は体力的に無理なので我慢して使用しています。
 なお,3脚の許容耐荷重ギリギリなので,シャッター速度が1/100秒以下となる場合は,必ずリモコンを使用するようにしています。

次は撮影機材の選定と設定です。